2021-12-24

令和三年 稽古納め

昨日、私のお稽古場の稽古納めでした。

私は稽古が日課なので、年末年始も稽古しますが、お弟子さんとの今年のお稽古はこの日で締めくくりです。

年明けのお稽古日に舞い初めをしますので、お弟子さんも一人ずつ舞う事になっています。
舞い初めと言っても、いつものお稽古の一環ですので、固くならずにやりましょう、という、ささやかな行事です。
数か月前からそれに向けてお稽古してきました。この日は、仕上げのお稽古でした。

こちらの小さな箱のような物は、見学中や休憩中など、座っている時に使ってもらうために私が手作りした「正座椅子」です。


手作り正座椅子
正座椅子は、正座してもしびれにくく、背筋が伸びますので、腰の負担も軽減できるそうです。

市販品もありますが、こちらの手作り正座椅子は土台が牛乳パックです。
私は牛乳好きでして、空いた紙パックがたくさんありましたので活用しました。
カバーの布は、古い羽織と着物の生地です。
数年前に作ったものですが、皆さん丁寧に扱って下さっているので、きれいな状態を保っています。

4月にお稽古を再開してから、休むことなく続けてこられました。
続けられるだけでもありがたいですが、この状況が続くのはやはりさびしいです。
もっと安心して過ごせ、縛りなく活動できる日が、少しずつでも近づいていると信じて、新しい年を待ちます。






2021-07-13

7月13日

今日、7月13日は特別な日でしたので、通常の毎日の一人稽古とは違って、母・千代さんにも見てもらいながら舞いました。


今、私が稽古している曲は『芦刈』です。
20代の頃、国立劇場の舞台で舞った曲です。
国立劇場に出演するのは2回目で、よくわからないまま、先生に教わった通りに舞わなければ、と、ただそればかり必死だったと思います。
カツラは重いし、着物の裾も踏みそうだし、当時、足を引く動きが苦手でしたので、いつも以上にままならないと思いながら舞っていた記憶があります。
先生が心配しながら、上手の舞台袖で見守ってくださっていたのも覚えています。

今日は、先生のお稽古場のあった高井戸の空に届けと願って、その『芦刈』を舞いました。
まだまだままならない私の舞です。ところどころで、先生から注意されていたのを思い浮かべながら、教えていただいた通り出来ているかと問いながら舞いました。
『芦刈』は、私の印象では渋くて、しっとりした雰囲気の曲なのですが、舞っていて浮かんでくるのは、なぜか、透明感のある爽やかな水辺の夏景色です。

7月13日


2021-04-10

お稽古所 四月

ご無沙汰してしまいました。

前回の更新でお稽古再開の報告をしましたが、昨年の年末以降、コロナウイルスの感染拡大が心配される状況になったことや、私の都合が合わないこともありまして、お稽古をお休みしておりました。
少しの間だけお休みするつもりでしたが、緊急事態宣言が出てしまい、思っていたよりも長めのお休みになりました。

まだ気を付けなければならない状況は続いていますが、先日、お稽古を再開することができました。
私はお休み期間も一人で稽古を続けていましたが、お弟子さん達とのお稽古は12月以来です。
この日は、『高砂』と、『鶴の声』をしました。





当たり前のことですが、お稽古は礼に始まって礼に終わります。
始まりは、正座をして手をついて、「お願いします」とお辞儀します。
私は先生に、「お願いします」と30年言い続けて来ました。
先生は、真正面で、真っ直ぐにそれを受け止めてくださいました。

師範を許されてからは、私も「お願いします」と言われる立場になりました。
私も「お願いします」と答えます。
何かもっと師匠らしい言葉で返すべきかもしれませんが、自然に出るのが「お願いします」なので、致し方ありません。
この日も、「お願いします」に、「お願いします」と返しました。
お弟子さんからのご挨拶に、私のほうこそお願いします、と返しているのですが、加えて、お稽古場や取り巻く空気に「お願いします」と言いたいのかもしれません。

お稽古再開のこの日、舞を続けて行けるありがたさを殊更強く感じました。
それを許してくれる環境があり、見守って下さる方々の存在があってこそ、この道を歩み続ける事ができます。
慎ましく弁えながら進んで行こうと決意を新たにした、春、四月です。